疾患、障害のある人の口腔ケア
〜認知症の方の口腔ケア〜
認知症とは…
脳の神経細胞の変性、死滅により、直接現れる認知機能障害とBPSD(行動、心理症状がある)があります。
認知症では、こうした症状から口腔ケアを自分でなかなかやらない自分でできない状態になり、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
〜口腔ケアについて〜
部分介助の場合
①自分で磨く力が残っているなら自尊心を配慮して支援する
ブラッシングや義歯の着脱、舌のケアなど可能なら本人にしてもらう。その時にやる気の出る声かけを心がけてください。
②仕上げ磨きをしてうがいの援助を行ってください。
恐怖感を与えないように後ろに立って仕上げ磨きを行なってください。
全介助の場合
①肩や首、口、周りのマッサージを行なってください
口元に力が入っていると口腔ケアはできません。比較的感覚に鈍い肩からマッサージを始めて首や口の筋肉をほぐしてください。
②マッサージの流れで口腔の中に手を入れてください。
上の歯に沿って、人差し指を奥まで入れて下唇を中指で下げ口を開きます。
上の歯の表側を支えておくと口が開いた状態をキープできます。
③後ろから恐怖心を与えないように口腔内を清掃してください
〜慢性疾患を患っている方の口腔ケア〜
慢性疾患とは
高血圧、心臓病、脳梗塞、糖尿病、生活習慣病、関節リュウマチ、パーキンソン病、うつ病
などが見られます。複数罹患している方もいます。
○循環器疾患
血圧循環が障害される病気で高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害など、急激な気温変化、体位の変化、痛みなどにより、血圧変動を起こすことがあります。
口腔乾燥症が多いため、保湿に気をつけるようにする。
○呼吸器疾患
呼吸器疾患…肺炎、誤嚥性肺炎、気管支喘息、気管支炎
異物を出そうと、咳反射や誤嚥に気をつけてください。こまめに吐き出してもらいます。咳が口腔内に付着していないか確認してください。
○代謝性疾患
代表的なのが糖尿病で歯周病と強い相関関係がある。
プラークコントロールと定期的な歯科検診が欠かせません。
(プラーク…虫歯の菌)
※細菌の塊で歯周病菌とも関係が深いです。
口渇から自浄作用が低下することがあるため保湿が欠かせません。
糖尿病網膜症があると視力が低下するのでケア用品の取り違えに気をつけるようにしてください。
○自己免疫疾患の場合
体を守る仕組みに異常が起こる病気のことです。
(例)関節リュウマチなど
本人に口腔ケアを任せることがリハビリになります。
ケアをする人が義歯を使っている場合は義歯と自歯の清掃を行います。
○神経疾患の場合
パーキンソン病では手足の震え、固縮、歩行障害、嚥下障害などが生じます。
意識状態を確かめて、声かけやボディタッチで刺激を与える
口腔周囲のマッサージをすると筋肉がほぐれます。
○精神疾患
意識低下から口腔ケア不足になるため味覚障害、口渇、歯の痛み、口腔カンジタ症が現れます。
口渇は抗うつ薬で助長されるため気をつけてください。
〜脳血管疾患発症後の口腔ケアの仕方〜
口腔ケアで大切なことは姿勢です。健側に少し傾けておくと誤嚥防止になります。(椅子に座布団やタオルなどを置いて健側側に傾けることができます。)麻痺している方の口腔内に汚れが溜まりやすいので丁寧に清掃をしてください。
できることは自分でブラッシングしてもらいます。
歯ブラシの持ち手を太くすると持ちやすくなり自分で歯磨きをしやすくなります。
「注意障害」「半側空間無視」などの症状を発症することがあるので鏡などで確認し声かけをする事で歯を清掃することができます。
自分で出来ることは自分でできるよう工夫することでお口の中も気持ちもスッキリとできます。一度に汚れを全て取り切るよりも継続的に続けていくことが大切です。本人も援助をする方も負担なく口腔ケアを続けてください。
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